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ダイエットとOSAHSの治療

 ダイエットを要する肥満によるOSAHS(睡眠時無呼吸-低呼吸症候群)の方で、在宅持続陽圧呼吸療法(nCPAP)が使用困難な方はDA(口腔内補助具)、ダイエットによる減量、側臥位緋、眠剤、就寝前のアルコールの禁止、外科的手術などを適宜組み合わせて治療に努力します。成人では耳鼻科的手術の有効率は50〜60%程度でありますが、例えば非肥満例の扁桃肥大症例などでは手術成績が良いとされています。ただし、小児においてはアデノイド、扁桃肥大が原因であることが多く、手術が第一選択となることが多いです。

 690人の一般住人を調べた報告において体重の変化に関しては、ダイエットによる10%の体重低下によりAHI(睡眠1時間当たりの無呼吸-低呼吸数)は26%低下し、10%の体重増加により32%増加します。住民全体の体重が10%増加すれば、AHI15以上の中等症以上のOSAHS患者は6倍になると予測されています。4年間で10%以上、ダイエットにより減量したのは住民の3%であるように、ダイエットによる減量は通常困難であり、積極的にOSAHSに対する治療が考慮されます。また、OSAHSがレプチン抵抗性、インスリン抵抗性に関与しているとの報告もあり、夜間の睡眠時呼吸異常を正常化させることによって、昼間の傾眠傾向なども改善し、昼間の活動量が増加し、ダイエットによる減量をスムーズに進行させることができるケースも存在する可能性もあり、今後の検討課題です。

ダイエットと睡眠時無呼吸症候群の治療

 ダイエットを要する肥満患者には減量を強く勧めますがが、ダイエットによる減量は困難なことも多く、また有効な減量が達成できるには長時間を要することが多いので、睡眠時無呼吸症候群に関して効果的な治療が勧められます。米国のChest誌上ではrespiratory disturbance index(RDI:AHIとほぼ同義)が30回以上、RDIが5〜30でも眠気などの症状または高血圧などの心循環系の合併症があれば経鼻持続気道陽圧(nasal continuous positive airway pressure:nCPAP)治療の適応ありとされています。2002年に改訂された日本の健康保険上のnCPAPの適応は表にしましました。nCPAPの治療効果は顕著ですが、根治的治療ではないので、毎晩の使用を拒否する症例もみられます。

 鼻症状、鼻閉、口腔よりの漏れによる経鼻持続気道陽圧治療(nCPAP)の利用率低下に対しては、加湿器使用で対応できる場合も多いです。nCPAPの適応に満たない軽症例には口腔内補助具(dental applianc:DA)が使用も考慮されます。



経鼻持続気道陽圧治療の対象となる患者

1.無呼吸低呼吸指数(1時間当たりの無呼吸数および低呼吸数をいう)が20以上。
2.日中の傾眠、起床時の頭痛などの自覚症状が強く、日常生活に支障をきたして
  いる症状。
3.睡眠ポリグラフィ上、頻回の睡眠時無呼吸が原因で、睡眠の分断化、深睡眠が
  著しく減少または欠如し、持続陽圧呼吸療法により睡眠ポリグラフィ上、睡眠の
  分断が消失、深睡眠が出現し、睡眠段階が正常化する症例。

以上すべての基準に該当する患者とする。無呼吸低呼吸指数が40以上である患者については、2の要件を満たせば対象患者となる。

ダイエットとPick-wickian症候群

 ダイエットを要する肥満は、Pick−Wickian症候群の八徴候の最初に含まれており、肥満、傾眠、痙撃、チアノーゼ、周期性呼吸、多血症、右室肥大、右心不全の八徴候を有する疾患をPick−Wickian症候群としています。Pickwickian症候群の臨床像が、Charles Dickensの小説の「Pickwick Club」のJoe少年に酷似していることから、この名がつけられました。

 肥満低換気症候群(obesity hypoventilation syndrome:OHS)は慢性の高PaCO2血症を呈し、ダイエットで減量する必要性のある肥満ですが、その定義は曖昧であり、Pick-wickian症候群と同様に扱われ、OSAHSの重症型と考えられていましたが、厚生労働省呼吸不全班では具体的な診断基準を提唱しました。厚生労働省呼吸不全研究班は、高度の肥満(BMI:body mass indexで30kg/m2以上),高度の傾眠,持続的な高炭酸ガス血症(PaCO2が持続的に45Torr以上)を伴った重症SAS患者を肥満低換気症候群と定義し,通常のSASと比較すると生命予後が悪いことを報告しています。なお、1999年に発表されましたAmerican Academy of Sleep Medicine(AASM)ではsleep hypoventilation syndrome:SHVSの項があり、ダイエットで痩せる必要のある肥満低換気と思われます。病態の条件としてBMI>35kg/uと付記されています。

肥満が原因のOSAHS

 ダイエットでの減量が必要な肥満は、OSAHS(睡眠時無呼吸-低呼吸症候群)に対する最も重要なリスクファクターです。ダイエットが必要な肥満があると上気道の軟部組織も増え、気道も解剖学的に狭くなります。その上、肥満により肺機能上の機能的残気量(FRC)なども変化し、睡眠中に気道内に生じた陰圧に対して気道が閉塞する圧なども変化する機能的変化も生じます。また、呼吸負荷と呼吸ドライブとの関係にも異常が生じ、睡眠中に異常呼吸を起こしやすくなるなどの障害も考えられています。

 欧米ではOSAHS(睡眠時無呼吸-低呼吸症候群)患者の60〜90%はBMI(body mass index)=[体重(kg)]/[身長(m)の2乗]が、28kg/uであるとされます。日本では顔面の形態上、欧米人に比してBMIが2〜3kg/u程度低くても同程度のOSAHSになるとされ、欧米より日本ではOSAHS(睡眠時無呼吸-低呼吸症候群)を防ぐために、ダイエットでやせる必要性は高いといえます。日本では、AHI 20以上のOSAHS患者の30%はBMIが、25kg/u以下であるとの報告とも一致する所見と考えられます。同じ程度の解剖学的な上気道の構造をもっていても、睡眠中の吸気時に発生する除圧に対して、気道の虚脱性には個人差があり、この気道虚脱性の呼吸調節学的問題は今後解決すべき課題です。

肥満と関連する睡眠時無呼吸症候群

 ダイエットが必要な肥満が重要な発症要因となっている睡眠時無呼吸とは睡眠中の10秒以上の鼻口気流の停止をいいます。低呼吸の定義は一定していませんが、通常は前値に比較してSpO2の3〜4%以上の低下を伴う50%以上の鼻口気流の低下が10秒以上続く場合とされることが多いです。睡眠1時間当たりの無呼吸-低呼吸数をapnea−hypopnea index(AHI)といいます。

 睡眠時無呼吸には無呼吸中に呼吸努力を伴う閉塞型睡眠時無呼吸と、呼吸努力を伴わない中枢型無呼吸があります。最近は低呼吸も無呼吸と同様な睡眠中の呼吸障害と扱われることが多くなり、睡眠時無呼吸症候群が睡眠時無呼吸-低呼吸症候群(obstructive sleep apneahypopnea syndrome:OSAHS)として扱われることも多いです。心不全、脳疾患でみられるCheyne-stokes症候群を中枢型睡眠時無呼吸と別個に扱う報告もみられますが、本邦ではCheyne−Stokes症候群は中枢型睡眠時無呼吸症候群の一種として扱われることが多いです。例えば日中の過度の眠気などのために交通事故の多発、作業中の居眠りなどが社会的問題になりつつあります。

 AHIが5〜15は軽症、15〜30は中等症、30以上は重症とされます。ダイエットが必要な肥満が多い米国では成人のおよそ5人に1人がAHI 5以上であり、15人に1人がAHI15以上とされています。本邦における大規模な疫学的データはいまだ発表されていませんが、最近発表された韓国のデータでは40〜69歳の成人男子がAHI5以上である頻度が27%、女子で16%と報告されました。また、米国では治療効果を得ることができるOSAHS患者の75〜80%がOSAHSと診断されていないという報告がみられます。

肥満と睡眠時無呼吸症候群

 ダイエットが必要な肥満は閉塞型睡眠時無呼吸の重要な発症要因です。 40〜69歳の5人に1人は睡眠1時間当たり5回以上の無呼吸-低呼吸を呈しており、ダイエットで減量が必要な肥満になればその頻度は数倍以上になります。

 10%体重増加、減量により睡眠中の閉塞型無呼吸はおよそ各約30%増減します。睡眠時無呼吸低呼吸症候群の治療には通常、経鼻持続気道陽圧(nCPAP)療法が第一選択なります。

 ダイエットによる減量が必要な肥満は閉塞型睡眠時無呼吸-低呼吸の重要な発症要因であり、最近の報告では40〜69歳の5人に1人は睡眠1時間当たり5回以上の無呼吸-低呼吸を呈しており、肥満になればその頻度は数倍以上になります。したがって肥満関連病態を考察するとき、閉塞型睡眠時無呼吸の有無を考慮することは重要です。



参考までに閉塞型睡眠時無呼吸-低呼吸症候群の診断基準をあげておきます。


閉塞型睡眠時無呼吸-低呼吸症候群の診断〔(AまたはB)とCを満たす〕

A.昼間の過度の眠気
B.睡眠中の窒息感またはあえぎ、繰り返す中途覚醒、睡眠後の不快感、昼間の疲労感、集中力の欠如のうち2項目以上
C.1時間以上の睡眠中に5回以上の閉塞型の呼吸(obstructive breathing event)*

* 閉塞型とは閉塞型無呼吸・低呼吸(obstructive apnea/hypopnea event)と呼吸努
力関連覚醒〔respiratory effort-related arousal(RERA)event〕とに分類された。閉塞型睡眠時無呼吸とは呼吸努力を伴う10秒以上鼻口気流の停止、低呼吸とは10秒以上続く50%以上の呼吸の低下または呼吸の低下が50%未満であっても3%以上の酸素飽和度の低下または覚醒を伴うものと定義されました。

閉経後の肥満と発癌

 ダイエットが必要な肥満は、女性の場合、40歳から急に増加することからも、閉経後に特に原料が必要な肥満が増加しています。閉経後にダイエットで減量が必要な内臓脂肪蓄積型の肥満がみられることは良く知られています。W/H比(ウエスト/ヒップ比)を指標としてみた研究では、いくつかの研究で閉経後W/H比(ウエスト/ヒップ比)が増加すること、すなわち、閉経が内臓脂肪型肥満の原因となることが示されています。

腹部内臓脂肪量をDEXAやCTによってを検討した研究では、閉経がダイエットで減量が必要な内臓脂肪型肥満のリスクであることが確認されています。内臓脂肪型肥満は高脂血症、高血圧、糖尿病などの重要な危険因子であり、閉経後女性に急増する心血管系疾患の原因として重要です。

 閉経後にエストロゲンの欠乏が減量が必要な肥満をおこす現象については、さまざまなメカニズムが言われています。エストロゲンには食餌摂取量を抑制する作用や、自発的な運動を増加させる作用があることが重要であると考えられています。同時にエストロゲンが直接脂肪組織での脂肪代謝に影響を与えることも分かってきています。


 閉経後の肥満と最も関連の深い癌は、子宮体癌です。子宮体癌発症のリスクは、10s以上の過体重では3倍に、25s以上では10倍に及びます。さらに、皮下脂肪型肥満よりも内臓脂肪型肥満でよりリスクの上昇が大きいと報告されています。このメカニズムとして、脂肪組織にはアロマターゼが存在するので、閉経後のエストロゲンの主な産生部位は脂肪組織であり、肥満者では内因性エストロゲン(特にエストロン)が高値となることが重要であると考えられています。さらに閉経後に発生する乳癌も、肥満が危険因子となることが知られています。

ダイエットが必要な肥満と閉経

 ダイエットが必要な肥満が閉経後に起こりやすいのでしょうか。ダイエットで減量が必要な肥満は高脂血症と同じく50歳までは男性のほうが高頻度でありますが、40歳からは女性の肥満が急に増加し、50歳代からは男性と変わらない頻度となることからも、閉経後に特に肥満が増加することが示唆されます。閉経期にはほぼ0.5s/年(閉経期を通じて約2.5s)の体重増加がみられますが、これは加齢によるもので、閉経そのものとは関連しないと報告されています。このように、全身的な体重増加そのものは閉経によるエストロゲンの欠乏と関連する可能性は低いものと思われます。

 閉経後にダイエットで減量が必要な内臓脂肪蓄積型の肥満がみられることはほぼコンセンサスが得られています。W/H比を指標としてみた研究では、いくつかの研究で閉経後W/H比が増加すること、すなわち、閉経が内臓脂肪型肥満の原因となることが示されています。さらに、DEXAやCTによって腹部内臓脂肪量を検討した研究では、閉経が内臓脂肪型肥満のリスクであることが確認されています。ダイエットで減量が必要な内臓脂肪型肥満は高脂血症、高血圧、糖尿病などの重要な危険因子であり、閉経後女性に急増する心血管系疾患の原因として重要です。

 エストロゲンが肥満を抑制する、あるいはエストロゲンの欠乏が肥満を惹起する現象については、さまざまなメカニズムが提唱されています。エストロゲンが食餌摂取量を抑制することや、自発的な運動を増加させる作用なども重要であると考えられています。同時にエストロゲンが直接脂肪組織での脂肪代謝に影響を与えることも示唆されています。

妊娠中の肥満と妊娠合併症

 妊娠とダイエットが必要な肥満については2つの問題点があります。1つは妊娠・分娩後の母体の肥満であり、いま1つは肥満妊婦には周産期合併症が多いことです。妊娠・分娩の回数とともに、一部の女性で肥満の程度も増加することが知られています。特に妊娠20週までに体重の増加が多ければ、妊娠中の体重増加が多ければ、妊娠中の体重増加が過大となり、分娩後にも肥満となりやすいことが指摘されています。

 日本産科婦人科学会栄養問題委員会では、妊娠時期別の肥満の基準を、非妊時BMI24以上、妊娠中期で26以上、妊娠10か月で28以上と定めています。近年、むしろ「痩せ妊婦」が増加し、出生児体重が減少していることが指摘されていますが、「痩せ妊婦」には児体重が少ないこと以外の周産期異常は少ないです。一方、「肥満妊婦」では妊娠中の合併症や分娩異常が増加することが指摘されています。妊娠中毒症の発症や、妊娠合併症として重要な糖尿病の合併頻度は肥満度とともに増加します。やはり、妊娠前からダイエットで減量して適切な体重を保つことが必要です。また、帝王切開率や吸引分娩率も肥満度とともに上昇することが知られています。一般的に、先進国では「痩せ妊婦」のほうが児死亡のリスクが低いです。肥満者を妊娠前にダイエットで減量させることは、新生児の予後を改善すると考えられます。
タグ:妊娠 肥満

多嚢胞性卵巣症候群

 ダイエットが必要な単純性肥満による月経異常と鑑別されるべき重要な疾患は、多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome;PCOS)です。多嚢胞性卵巣症候群は肥満と月経異常を伴う代表的な疾患で、1935年にSteinとLeventhalによって、無月経、不妊、多毛、肥満と卵巣腫大がみられる疾患として最初に報告されました。多嚢胞性卵巣症候群では血中LHの上昇、高アンドロゲン血症がみられることが指摘されてきました。最近、多毛を伴う多嚢胞性卵巣症候群患者に高インスリン血症と黒色表皮腫(acanthosis nigrican)がみられることから、病因としてインスリン抵抗性が注目されるようになりました。高インスリン血症によって莢膜細胞層が肥厚し、アンドロゲン産生が促進されるので、高インスリン血症は多嚢胞性卵巣症候群の病因として重要です。


参考までに多嚢胞性卵巣(症候群)の診断基準をあげておきます。

多嚢胞性卵巣症候群の診断基準(1993年、日本産科婦人科学会生殖・内分泌委員会)

1) 臨床症状

○1. 月経異常(無月経、稀発月経、無排卵周期症など)
 2. 男性化(多毛、にきび、低音声、陰核肥大)
 3. 肥満
 4. 不妊

2) 内分泌検査所見

○1. LHの基礎分泌高値、FSHは正常範囲
 2. LH-RH負荷試験に対し、LHは過剰反応、FSHはほぼ正常反応
 3. エストロン/エストラジオール比の高値
 4. 血中テストステロン又は血中アンドロステンジオンの高値

3) 卵巣所見

○1. 超音波断層検査で多数の卵胞の嚢胞状変化が認められる
 2. 内診又は超音波断層検査で卵巣の腫大が認められる
 3. 開腹又は腹腔鏡で卵巣の白膜肥厚や表面隆起が認められる
 4. 組織検査で内莢膜細胞層の肥厚・増殖、および間質細胞の増生が認められる

(注)以上の各項目のうち◯印をつけた項目を必須項目として、それらすべてを満たす場合を多嚢胞性卵巣症候群とする。その他の項目は参考項目として、必須項目のほかに参考項目をすべて満たす場合は典型例とする。



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