ダイエットで痩せる > ダイエットの基本



ダイエットの効果に関する疫学的研究

 痩せるためのダイエットによる、適度な食事制限と身体トレーニングは、個体のインスリン感受性を改善させ、インスリン抵抗性に関連するすべての疾患(マルチプルリスクファクター症候群/生活習慣病)の予防・治療に有用であることが、多くの疫学的研究によって証明されています。

 近年における文明化された日常生活での身体運動量の減少は、グルメ志向による欧風化された食事(高脂肪食)と相まって、肥満症を代表例とする生活習慣病を増加させています。すなわち、痩せるためのダイエットを行わないで、運動不足になると、筋におけるインスリン抵抗性を招き、糖代謝異常を来します。インスリン抵抗性は代償性高インスリン血症をもたらし、肥満のほか、2型糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化症を引き起こし、「シンドローム]」「マルチプルリスクファクター症候群」「死の四重奏」「インスリン抵抗性症候群」「内臓脂肪症候群」「代謝症候群」などと呼称される病態の発症・進展に重要な役割を果たしています。

 肥満学生に対し追跡調査を行った研究成績では、肥満改善群では肥満非改善群に比べて、日常の身体活動レベルが中等度強度を示す生活活動強度U(第5次改定「日本人の栄養所要量」)である比率が有意に大でした。食事療法と週3回の運動実施によるダイエットは、軽度肥満者のインスリン抵抗性を改善させました(Oslo食事・運動研究、ノルウェー)。

 肥満者を含むIGT患者(522人)を、ダイエットによる食事・運動などの生活習慣介入群と対照群に分け経過観察を行ったところ、介入群の発症率は対照群に比べ低下しました。また、食事療法の励行、運動実施、体重減少など、指導効果をスコア化したところ、両群いずれも達成率の高い者ほど発症率が有意に低下しました(フィンランド糖尿病予防研究、フィンランド)。

 BMI (body mass index)平均が34.0の3,234人を、ダイエットによる生活習慣改善群(L群:低エネルギー、低脂肪食と毎週150分の中等度強度運動実施による7%体重減少)、薬物療法群(M群:メトホルミン850mg×2/日投与)、および対照群(C群:プラセボ投与)に分け、平均2.8年経過観察を行いました。その結果、L群ではIGTからの糖尿病発症率がC群に比べて58%低下し、M群では31%低下しました(糖尿病予防研究、米国)。

根拠に基づく痩せるためのダイエット

 痩せるためのダイエットだけでなく、現在、医学・医療の現場では、医学的根拠に基づく医療(evidence-based medicine ; EBM)が求められています。肥満症の運動療法ダイエットをして減量することについても、身体運動をはじめとする生活習慣の是正による減量が、肥満耐糖能障害者の糖尿病発症率低下に有用であるとする大規模臨床成績が次々と報告されています。また、分子生物学的アプローチによる運動の効果のメカニズム解明が進行中であるなど、肥満症の運動療法の有用性を示唆する多くのエビデンスが次々と見出されています。

 一方、厚生労働省によって肥満、2型糖尿病を代表例とする「生活習慣痛」の概念が導入されました。また、身体活動・運動や栄養・食生活などの生活習慣を改善することによってダイエットを行い痩せることによって、肥満者の減少など危険因子を低減し、糖尿病などの疾病を減少させ、健康寿命の延長を目指した「健康日本21」が県・市町村レベルで実施段階に入っています。さらに、法的基盤整備として「健康増進法」が制定され、2003(平成15)年5月から施行されました。

 そもそも、肥満は体の貯蔵脂肪が過剰に蓄積した状態です。したがって、肥満症治療の原則は、エネルギー出納のバランスを長期的かつ継続的に負に保ち、脂肪組織を減少させることにあります。すなわち、身体トレーニングを実施することにより、食事制限の結果低下する個体の基礎代謝を上昇させるとともに、脂肪組織に脂肪分解を起こさせ、生じた遊離脂肪酸(FFA)を効率的に運動(収縮)筋で利用(消費)させなければなりません。

 しかし、高い強度の運動では脂肪組織の減少効果は少ないとされています。したがって、運動療法のポイントは、特別なスポーツを行うことよりも、日常生活のなかで身体活動性を増加することにあります。
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